矯正歯科治療で歯並びを良くすることは、口腔の健康の回復・維持・促進に役立ち、口元を美しくするために非常に有効な方法といえます。スムーズに治療を進めるために、以下の点にご留意ください。
治療の進め方
矯正治療では、歯を動かすことにより咬み合わせを正しくします。(動的治療)
動的治療によって動かした歯が元の位置に戻らないように、治療した正しい位置に安定させることも必要です。(保定)
発育期のお子様の場合、一般的には次のような時期に分けて治療を進めていきます。
〔 第 1 期治療 〕
乳歯列または一部の永久歯が生えた段階で治療を開始します。早期に開始することにより咀嚼機能が正常になり、顎骨の正しい成長がうながされ、第2期治療が容易になります。
この期間中は3~4週間に一度の通院になります。
歯並びは、顎骨の成長と共に変化するため、第 1 期治療の終了時期は顎骨の成長を見ながら判断します。
顎骨の成長が終了するのは、だいたい身長の伸びが止まる頃です。
〔 第 2 期治療 〕
第1期の治療後、永久歯が全部生え揃うのを待って(中学生頃)、本格的に永久歯の歯並びを正しくしていきます。
矯正装置を付けて治療する期間は約2~3年でこの期間中は3~4週間に一度の通院になります。
保定期間は約2年で、この期間中は3~6ヶ月に一度の通院になります。
大人の方の場合、(歯並びの状態によって個人差があります。)
矯正装置を付けて治療する期間は約2~3年で、この期間中は3~4週間毎の通院となります。
保定期間は約2年で、この期間中は3~6ヶ月に一度の通院になります。
歯は年齢に関係なく、動かすことができます。ご高齢の方でも、歯は十分に動かせます。
保定について
保定装置には、歯に固定するタイプと、患者様がはめ外しするタイプがあります。
歯を動かした後の保定期間については、最低2年間は必要とされていますが、治療結果をさらに安定させるためには、保定期間を延長することが有効とされています。
矯正装置について
歯並びの状態によっては、歯科矯正用アンカースクリューを使用して治療します。
矯正治療に伴う永久歯の抜歯やストリッピングについて
スペース不足がわずかな場合には、歯の側面を磨いて歯のサイズを小さくする方法(ストリッピング)で対応する場合もありますが、歯の形によって可能なストリッピング量は異なります。
また、親知らず(第三大臼歯)が生えないで埋まっている場合には、治療前に抜歯しておく方が良い場合もあります。
外科的矯正治療について
手術部位は、下顎のみ・上顎のみ・上下顎両方など、症状によって異なります。手術は口の中から行ないますので、顔に傷ができることはありません。
手術は口腔外科などの専門医に依頼しております。入院期間は約2~3週間ですが、手術の前後に矯正治療を行ないますので、全体の治療期間は 2~3年 程度になります。
外科的矯正治療には健康保険が適応されます。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
① | 最初は矯正装置による不快感や痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。 |
② | 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。 |
③ | 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。 |
④ | 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。 |
⑤ | 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。 |
⑥ | ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。 |
⑦ | ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて歯髄が壊死することがあります。 |
⑧ | 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。 |
⑨ | 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。 |
⑩ | 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。 |
⑪ | 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。 |
⑫ | 矯正装置を誤飲する可能性があります。 |
⑬ | 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。 |
⑭ | 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが起きる可能性が高くなります。 |
⑮ | 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。 |
⑯ | あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。 |
⑰ | 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 |
⑱ | 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。 |
以上の点やご自身の治療内容を充分ご理解のうえ、良い歯並びと、さわやかな笑顔をご自分のものにしてください。